スポーツは舞台裏も戦いだ! FINA競泳ワールドカップ2019東京 プール会場に初起用の高精細LEDディスプレイ

8月2日(金)から4日(日)に東京辰巳国際水泳場で、国際水泳連盟(FINA)が主催する競泳の国際大会「FINA競泳ワールドカップ2019東京」が開催されました。


白熱する競技の中継、演出、広告にと活躍していたのが、会場に設置された映像システムの数々です。大型映像は、今やスポーツ大会に欠かせない要素となっています。


ヒビノは「スターティングブロック後方」と「プールサイド」にLEDディスプレイの大画面を設置し、精彩かつダイナミックな映像で大会の熱を盛り上げました!


その大型映像システムの影にあったのは、きれいな映像を表示するために映像エンジニアが見せる細やかな努力や、やり直せないライブ現場だからそこの取り組みでした。


ヒビノ広報のhiroがレポートします!



【映像システム】

スターティングブロック後方にそびえる大画面「Carbon5」


スタート台側に設置したLEDディスプレイは、水泳大会では初起用の5.77mmピッチLEDスクリーン「Carbon5」です。92枚(横46枚×縦2段)のLEDパネルを使い、幅27.6m×高さ2.4m(約66㎡)の巨大画面を構築しました。画素数は4,784×416。横方向だけなら4K(3,840×2,160)を超えますね。


▲5.77mmピッチLEDディスプレイ・システム「Carbon5」のLEDパネル。1枚の大きさはW600×H1,200×D76.3mm。これがCarbon5の最小単位です。


これまでの水泳大会では9.5mmピッチ(VB-9)や8mmピッチ(G8 Black)のLEDディスプレイを運用してきましたが、本大会は、水に強い全天候対応タイプの中で最も精細な5.77mmピッチ(Carbon5)を使用しました。


LEDディスプレイは、画素ピッチで解像度と視認距離が決まります。9.5mm→8mm→5.77mmとピッチが細かくなるにつれ画素数は大きくなり解像度は高くなります。より細かい映像表示ができるわけです。

(余談ですが、画素数=LED素子の数なので、精細になるほど使われているLED素子の数も増え、機器のお値段も高くなる傾向にあります。レンタル料金もまたしかり。)


水泳大会の場合、会場の客席から観戦する分には9.5mmピッチでも十分に機能を果たすのですが、スタート台側のLEDディスプレイは表彰やインタビューの際、選手の背景としても使われます。カメラが選手をアップで撮れば、おのずとLEDディスプレイも至近距離から撮影されます。



本来、9.5mmピッチLEDディスプレイの推奨視認距離(視聴者から画面までの理想的な距離)は9.5m以上なので、すぐ近くからカメラで狙うようなシーンには向いていないのです。本大会では、より細かい5.77mmピッチのCarbon5を採用したことで、スポンサー及びパートナー全社の企業ロゴを細かく並べるような場面でも、自然できれいな映像をお見せすることができました。



プールサイドの超ウルトラワイドな大画面「G8 Black」


プールサイドには、すさまじく横長の大画面(バナースタイルLEDディスプレイ)を構築しました。使用したのは8mmピッチLEDスクリーン「G8 Black」。71枚のLEDパネルを横につなげた超ウルトラワイドな画面は、幅45.4m×高さ0.9m。アスペクト比は454:9ですね。


▲8mmピッチLEDディスプレイ・システム「G8 Black」のLEDパネル。1枚の大きさはW640×H960×D116.7mm。これがG8 Blackの最小単位です。


G8 Blackは、本年4月のJAPAN SWIM 2019、5~6月のジャパンオープン2019(50m)でも活躍した機材です。広告の訴求や演出効果に高いパフォーマンスを発揮する「バナースタイル」にもってこいのサイズ感(高さ0.9mがポイント)。ヒビノのスポーツ・イベント現場ではおなじみの機材です。



技術チームも真剣勝負の連続!スポーツ競技は舞台裏も戦いだ

▲プールサイドの一角に設けた映像のオペレートブース内。メインスイッチャーは森田 和彦(当社ヒビノビジュアル Div. スポーツイベントチーム)


大型映像システムを運用するヒビノの映像チームは、全5名です。


まず、オペレートブースに3名。映像を切り替え、LEDスクリーンに映し出す画を操作するメインスイッチャー1名(↑写真)、スポンサー&パートナー企業ロゴのローテーション表示や選手名の表示など「映像素材」を進行に合わせて出すオペレーターが2名です。さらに、表側からLEDディスプレイの動作を監視し、異常があればインカムでオペブースに伝える監視スタッフが1名。この4名のバックアップ要員が1名というチーム編成でした。


競泳大会は進行が速く、オペレートは結構大変です。台本はありますが、時間の押し引きが生じるので、進行表の時間どおりとはいきません。インカムからリアルタイムで次々と飛んでくる指示に、全スタッフが迅速かつ正確に対応していきます。「3、2、1、0」でたたいて出して次をスタンバイしての繰り返し。気の抜けない瞬間が絶え間なくつづく数時間です。スポーツ競技は、舞台裏もまた戦いでした。



えーっと、ちょっと長くなったので次回へ続きます。


「スポーツの現場は失敗もやり直しも許されないLIVE!周到なトラブルシューティングのお話」や「鮮明で自然!きれいな映像には理由があった。細部までこだわった調整のお話」をお届けする予定です。


どうぞお楽しみに。それではまた!




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