こんにちは!経営企画のアミーゴです。
さて前回、前々回と、ヒビノクロマテック Div. LEDソリューション部を訪ねて、技術チームリーダー 田中さんと、ヒビノGMC 若月さんに話を聞き、色温度とその調整方法について書きました。
過去の記事:映像補正のはなし(1)-色温度とは?-
過去の記事:映像補正のはなし(2)-ホワイトバランスとブラックバランス-
これまでは、画面全体の調整をしてきましたが、今回は、よりピンポイントに画面の中で「この部分だけ色を調整したい!」という場合に行う、カラーコレクション(略してカラコレ)の方法についてご紹介します。
使用する素材はこちら☆
テーブルの上に置いた花びんです。
ひまわり、バラ、カーネーション、かすみ草など、いろいろな花を集めてみました。
これをビデオカメラで撮影し、その映像をLEDディスプレイ(ChromaLED・3.0mmピッチ)に出力しました。
テーブルの白色にも違和感は無いですし、ひまわりの黄色、カーネーションのピンク色、茎や葉の緑色も、自然に出ています。
ですがあえて今回は、ひまわりの花びらの色(黄色)だけを、ちょっと違う色に変化させたいとします。
まず、ディスプレイ上の、色を変化させたい場所を選択します。
花びらの黄色の部分に、十字マーカーが表示されたのが見えますよね。
このマーカーを上下左右に動かして、任意の色を選びます。
選択すると、データのサンプリングが行われ、そのポイントにおける色情報が、操作画面に表示されます。
あとは、サンプリングしたデータを基準に、色を少しずつ調整することができます。
右のひまわりの色だけが、黄色から、やや赤みを増してオレンジ色になりました!
注目なのは、左のひまわりや、バラやカーネーションの色、葉の色、背景の色は、もとの色からほとんど変わっていないことです。
それでは、具体的にどんな操作をしているのか見ていきます。
先ほど、色を変えたいポイントを定めて、サンプリングを行いました。
ですが、その一点だけを色補正したいわけではありませんよね。
マーカーの周囲の似たような色の部分も、同じように色味を変えて、自然に仕上げたいです。
そこで、「許容範囲」「ソフトネス」を指定します。
「許容範囲」は、変化させる色の範囲(どこからどこまでの色を変えるのか)を、「ソフトネス」は色の変化の割合(どれくらいなだらかに色を変えるのか)を決めるものです。
上の写真では、許容範囲を狭く設定したので、左のひまわり(うすい黄色)には影響を与えず、右のひまわり(濃い黄色)だけを調整でき、ソフトネスはある程度高めに設定したので、黄色とオレンジの境目を感じさせないような色の変化になっていたんですね!
・許容範囲が広いと、ほかの似た色の部分も変わってしまう。(写真上)
・ソフトネスが低いと、色の変化の境目がはっきり見える。(写真下)
どこからどこまでの色を(許容範囲)、どれくらい変化させるか(ソフトネス)を決めたところで最後は、どんな色に変えるかを指定する方法です。
サンプリングされた基準データから、色の3要素について、フェーダーで微調整ができます。
色の3要素とは、「明度(LUMINANCE)」「色相(HUE)」「彩度(SATURATION)」の3要素を指します。
「明度(LUMINANCE)」は、色の明るさの度合い、「色相(HUE)」は、赤、黄、緑といった、色みの違い、「彩度(SATURATION)」は、色の鮮やかさの度合い、をあらわします。
・明度を上げて、明るい黄色に。(写真左)
・色相を、黄色から緑に。(写真中央)
・明度を上げて、彩度を下げて、灰色っぽい白に。(写真右)
いかがでしょうか?
効果をわかりやすくするため、かなり極端に3要素を変えているので、びっくりするような色合いのひまわり(!)になっていますが、実際は、もっと微妙なレベルでの調整をしていきます。
今回使用している、ヒビノのカラーコレクタ(色補正システム)では、最大で12個のデータのサンプリングが可能です。
つまり、ここまでご紹介したカラーコレクションの設定を、1入力ごとに12箇所で、同時に行うことができるのです。
あっちの色はこう調整したいけど、こっちの色はこう調整したい…など、細かいニュアンスのご要望が出てきたとしても、これならOKです。
私は、色をさまざまに変化させられることが、単純に楽しくて、うわーこんなに色が変わるんだー!とか、絵を描いてるみたい!なんて感じてしまいました。
どことなく、ゴッホのひまわりに似ているような感じがします☆
ですが、実際の現場での調整は、もっとシビアで繊細なもの。
あとでカラコレができるとはいえ、クライアントは、色表現を一度完成させた状態で、映像素材を提供してくれます。
それを預かり、変えようと思えば簡単にいくらでも加工できてしまう状況のもとで、調整を行うヒビノの技術スタッフは、きっといつも緊張と責任を感じながら仕事しているに違いありません。
最小限の調整で、最大限にクライアントの満足が得られる映像になるよう、スタッフの目も、わずかな色や明るさの違いに敏感です。
技術や方法はたくさんありますが、目的はいつも一つ。
あくまで、クライアントの意図を、より良く実現させることなのです。
長文になりましたが、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました☆
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