こんにちは!経営企画のアミーゴです。
前回のブログでは、ヒビノクロマテック Div. LEDソリューション部を訪ねて、技術チームリーダー 田中さんと、ヒビノGMC 若月さんに話を聞き、色温度の違いについて書きました。
前回の記事:映像補正のはなし(1)-色温度とは?-
白の違いについては、前回もお話しましたが、ほかにも、「何かちょっと違うなぁ…」という色の違いが起きることはよくあるのでしょうか?
初歩的な質問かもしれませんが、思いきって尋ねてみました。
答えは、やはりあるとのこと。
例えば、クライアント企業の大事な商品やロゴマーク。
きっと、その色にもこだわりを持って作られているはずです。
だとすれば当然、それらを表示する映像も、そのこだわりを反映した、正確な色を再現できなければいけませんよね。
しかし、映像制作のために使用する表示機器(PCモニターなど)と、映像を流すために使用する表示機器(LEDディスプレイなど)が異なる以上、色の出力に差が生じる可能性は、決してゼロではありません。
その差をなくすために、さまざまな微調整をする必要があります。
その中の一つ、色温度の調整をどんな手順で行うのか、今回はご紹介したいと思います。
使用するのは、専用のリモコンまたはWindowsパソコン用のコントロールソフト。
どちらも、LEDディスプレイ プロセッサーDLC-612、DLC-401に附属されているものです。
専用リモコン(写真上)と、PC用コントロールソフト(写真下)
使用する素材はこちら。
私がスマホで撮ったあじさいの写真です。淡い色がとてもきれいです。
そして、LEDディスプレイ(ChromaLED・3.0mmピッチ)に出力したものがこちら。
この時点では、まだ何の調整もしていません。
(※写真だと、少しだけ色が濃いめに映っています。)
一般的に、色を合わせるときには、まず「ホワイトバランス」と「ブラックバランス」を調整します。
「ホワイトバランス」は、白を再現するためのRGBバランス、「ブラックバランス」は、黒を再現するためのRGBバランスを指します。
※RGBとは、赤・緑・青(光の三原色)です。
ディスプレイに映ったあじさいを見てみると、前回のブログのような、白が黄色っぽいとか青っぽいということはなく、本来の白が再現できています。
黒の部分も、とくに色かぶりしていないので、ここではあまり調整の必要はなさそうです。
ですがあえて今回は、花の色にもう少し青みが増すように、ホワイトバランスとブラックバランスを調整してもらうことにしました。
こちらが、ホワイトバランスとブラックバランス調整後のLEDディスプレイ。
調整前と比べ、かなり色味が変わりました。
青みの強い、クールでかっこいい印象のあじさいになりました!!
一体どのような方法で、調整を行っているのでしょうか。
操作画面を拡大したものがこちら。
RGBそれぞれの色の強さを、フェーダーで微調整することができます。
青のフェーダーを右にずらせば、画面全体の青みが上がります。
また、カラーフェーダーの隣には、「GAIN」「PEDESTAL」と書いてあるのが気になります。
あまり聞き慣れない言葉ですが、「GAIN(ゲイン)」は、ホワイトバランスにおけるRGB各色の強さの度合い、「PEDESTAL(ペデスタル)」は、ブラックバランスにおけるRGB各色の強さの度合いを指します。
今回は、青のゲインをかなり極端に上げて、ホワイトバランスを調整しました。
ブラックバランスは、青のペデスタルを上げ、赤と緑のペデスタルを少し下げて調整しました。
そのため、画面の黒っぽい部分(葉の影など)は、ほとんど色みが変わっていないのに対して、白かった部分(花びらの部分)は、だいぶ青みが増したのがわかりますよね!
実際は、もっと細かいレベルの微調整をします。
もし、本来の白や黒の部分に、色みがついてしまっている場合には、RGBのうち、どの色を引くか、またはどの色を足して色みを打ち消すのかを考えて調整しますが、ほとんどの色は、赤・緑・青のうち1色で表現されているのではなく、それら3色が、ドット単位の細かい割合で混ざり合っています。
完全な白や黒にするためには、各フェーダーを微妙な割合で調整する必要があるのです。
ちなみに当社の場合、画面全体のホワイトバランスやブラックバランスを調整する前に、まずLEDユニット単位でのゲイン調整を行い、球の発光量を調整します。
これにより、ユニットごとのRGB各色の面輝度差を吸収し、白の発光が均一になるようにしています。
と、ここまでの話を聞いていたら、一つの色が出力されるまでの長い道のりというか、ストーリーのようなものを感じてしまって、なんだかちょっと感動してしまいました!
TVを見ていて、きれいなCMを見つけたり、好きな映画のワンシーンに思わずうっとりしたり、ときどき私も、そんな日があります。
そこで、その映像に込められた人の思いや、一色一色にこだわった気持ちがあるのかと思うと、ますますその映像が好きになってしまいそうです。もっと大事に見たくなりますよね!
さて、ホワイトバランスとブラックバランスが決まったら、画面のコントラスト、ブライトネス(輝度)、色相(色みの違い)などを調整します。
それでも色が違うという場合には、カラーコレクションを行います。
カラーコレクションについては、また次の記事でご紹介します。
これまでの色温度調整よりも、さらにピンポイントに色を調整していく作業になります。
それではまた!
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