こんにちは!広報のhiroです。
前の投稿(ライブレコーディングの現場レポート!その1)に引き続き、及川光博様の、ワンマンショーツアー2012「銀河伝説」 @NHKホールで行った、ライブレコーディングの様子を、ご紹介したいと思います!
レコーディングエンジニアは、ヒビノサウンド Div.の熊田さん。3名のスタッフと共に、全4名でライブレコーディングを行います。
前回のブログでは、車体(外観)の写真を多く載せましたが、今回は、ヒビノの録音中継車「オデッセイ(ODYSSEY)」の内部もお見せしますね。
コンサート会場に入り、車体の固定作業等が完了したオデッセイ内では、録音機器のセットアップが開始されます。(会場入り直後のオデッセイ内はこんな感じ。)
メインコンソールのNEVE VR48、サブコンソールNEVE 4426や、ラージスピーカーADAM S4VA MK2、エフェクターラックなどは、常設の設備として車輌に組み込まれていますが、その他の機器は現場で組み上げます。
HDDレコーダーDigidesign ProTools HD3 AccelやTASCAM X-48のワイヤリング、スモールスピーカーGenelec 8040Aの設置、パッチケーブルの接続も行います。
全ての設備が固定で組み込まれている方が楽な場合もありますが、コンサート現場ごとにシステムが異なってくるため、その都度、それぞれのコンサート用にプランニングした最適なシステムを組み上げています。
機器のセッティングなど、準備は着々と進んで、セットアップがある程度完了した頃に、オデッセイとステージの間で、回線等のチェック作業が始まります。
この日のレコーディングは、64ch。
簡単に言うと、録音する音が64つあるということですね。
確認作業は、1chから順番に、全ての回線で行われます。
オデッセイ側には、レコーディングエンジニアとアシスタントの2名、ステージ側にも2名のスタッフが配置につきますが、双方ともお互いの状況を見ることができないので、インカムを使ってコミュニケーションをとりながら作業を行います。
まずは、レコーディング・システムのみの確認作業、ローカルチェックです。
マルチケーブルからオデッセイの卓に到るまで、全てをつなげた実装状態で、ステージにインプットされる回線と、マルチを通って中継車に立ち上がる回線が、全て生きているかを確認する作業です。
本来、問題ない部分なのですが、ライブレコーディングは毎回移動して、その都度、設置を行いますので、「問題ない」ということを必ず確認しています。
ローカルチェックの次は、回線チェック。
PAとレコーディングで回線を分岐しているので、このチェックはPAと同時に進行します。
ここでは、ステージなどに設置されているマイクロホンの回線が、正しい音、くるべきレベル、くるべき音質で卓やレコーダーに到達しているかを確認します。
『このマイクは、ローが無いのではないか?』とか『このマイクは、ハイが落ちてるのではないか?』などと言った、1つ1つのマイクロホンの状態も含めて、全回線のチェックを行います。
回線チェックの後、ステージではモニターチェックが行われます。
これはモニターエンジニアが、アーティストへの返し(モニタースピーカーの音)を調整する作業ですが、この時、ボーカルやコーラスのマイクを中心にチェックしていくので、オデッセイ内でもその音をもらって(盗んで?)、ボーカルマイクなどの音質やレベルをチェックしながら適正に合わせるなど“調整の下準備”をどんどん進行していきます。
モニターチェックが終わると、本格的な調整を行うサウンドチェックとなりますが、サウンドチェックが始まる前に、ローディーさんが楽器を弾いて音を出したりします。
ここでも、その音を逃さず、粗方の調整を合わせていきます。
こうやって、アーティストがステージに入って行われるサウンドチェックの段階では、最終的な追い込みの調整をするだけで良いという状態にしているのだそう。
レコーディングはPAと違い、コンサートツアーをずっと一緒に回るわけではありませんから、PAと比べると、どうしても追い着く次元が違ってきます。
一瞬のミスも許されない一発本番のライブだからこそ、様々な機会を無駄にすることなく、下準備を進めるんですね。
サウンドチェックに余計な時間をかけたり、知らなかったなどという事が無いように、その前の段階で調整を行うのだと熊田さんが教えてくれました。
少しお話がそれますが、今やPA業界の主流は完全にデジタルコンソールです。
PAシステム機器も、レコーディングシステム機器も、新製品が続々と登場しますし、ヒビノでも最新鋭の機器を検討・導入していくわけですが、当社のPAと録音が、現場で初めてのシステムをつなげる事は絶対にありません。
新システムの導入や、なにか新しいこと、今までと違うことをやろうとする場合には、必ず社内で動作の検証が行われます。
きちんと機能するのか、どういう点に注意が必要なのかなど、事前に十分な検証を行うことで、現場で予期せぬエラーやトラブルが発生する事を防いでいます。
会社が違えば、現場で初めましてのシステムを繋ぐことも当然あるわけですが、それによるトラブルが無いのは、ヒビノが一社でPAと録音を提供できる大きなメリットですね。
さてさて、今回レコーディングする64chの回線の中には、ボーカルマイクや、楽器に立てられたマイクロホン、エレキ楽器のD.I.のラインアウトなど、PAで使用する音の回線や、PAでは使わない“録音専用の音”などがあります。
そんなわけで、次はマイクロホンのお話へと続きたいと思います。それでは、また!
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