こんにちは!広報のhiroです。
さて前回までは、「MASTER」と「SUBMASTER」の文字が印刷されたシールをきっかけに、コンサートのレコーディングなどを行っている部署、ヒビノサウンド Div. レコーディング課のチーフエンジニア熊田さんを訪ねまして、マスターメディアを見せてもらったり、録音に関するお話を聞き、紹介させていただきました。今回はその続きです☆
過去の記事1 : マスターとサブマスター(1) - 唯一無二の存在
過去の記事2 : マスターとサブマスター(2) - レコーディングの変化
レコーディングシステムのデジタル化が進んだことで、利便性が大きく向上した一方、昔に比べて、慎重さに欠ける行動が見受けられるようになり、その対策や意識の徹底を実施している、といったお話が前にありましたが、そういった意識や慎重さの変化というのは、“ライブレコーディング”においても同様に言えることですか?と質問を続けたところ、「ライブレコーディングでは、昔も今も感覚や意識の面で大きな違いはない」とのことでした。
ライブレコーディングの現場でも、録音にはDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ProToolsが使われていますが、それでも、ライブレコーディングにおいてデジタルが占める割合は意外と少なく、また、ライブが持つ一回性という性質は、昔も今も変わりませんから、時間がくれば始まってしまいますし、やり直しは利きませんし、待った無しの一発勝負。
慎重さや緊張感、一発入魂!的な感覚は、変わらないのですね。
そう。ライブレコーディングといえば、
ヒビノの“第3のスタジオ”ともいえる、録音中継車のオデッセイ(ODYSSEY)!
(↑ヒビノの録音中継車 「オデッセイ(ODYSSEY)」)
オデッセイのミキシングコンソールは、NEVE VR48(メイン卓)とNEVE 4426(サブ卓)。
ニーブというブランドの、アナログ・ミキシングコンソールです。
PA・SR業界(コンサート音響業界)の、ミキシングコンソールの主流は、今や完全にデジタル・ミキシングコンソールですが、レコーディング業界では、日本や海外も含め、「レコスタにはこのデジ卓!」と言われるようなカリスマ的な存在のデジタル・ミキシングコンソールは、まだ現れていないのだそうです。
いずれは、その様なカリスマ的コンソールが登場して、一気に変化していく分野なのでは?
そんな流れが、そう遠くない未来に、訪れるのかもしれませんね!
アナログ・ミキシングコンソールが、どれだけよくメンテナンス出来ているかは、スタジオの評価に繋がりますが、内部の電子部品には定期的な交換が必要な物もありますし、フルメンテなんて言ったら超大事ですし、私は『アナログ・ミキシングコンソールは、とにかくメンテナンスが大変!』という印象を強く持っています。
オデッセイも大変ではないのでしょうか???
オデッセイに搭載しているニーブのミキシングコンソールは、オデッセイをリニューアルした2年前に、フルメンテナンスを実施したそうです。
(写真上)数々の歴史を刻んだ旧オデッセイ (写真下)細部まで再設計され更なる録音環境を追及した新オデッセイ(2009年)
また、最近のライブレコーディングは、入力回線数が簡単に100チャンネルを越えるようなものも多く、大きなライブレコーディングの事前には必ず仮組みを行い、そこでもチェックが実施されます。
更に、ライブレコーディングの繁忙期といえる夏季・冬季の前にも、機器のチェックは欠かさないのだそうです。
特にオデッセイは「録音中継車」。「車」ですから、日本中どこまででも走ります。
精密機器だらけのレコーディングスタジオを、丸ごと車に乗せて走っている状態です。
車自体にも揺れを軽減させる構造が採用されていますが、機器を直置きにすると、どうしても車の振動を拾ってしまうため、防振ゴムを入れて浮かせるなどの処置や、様々な工夫が随所に施されているのだそうです。
しかし、このように何重にも対策を施していても、仮組みの段階まではOKだったものが、現地では、状態が変化してしまう時もあるのだとか。
どんな状態にも対処するため、どの段階まで大丈夫だったかを正確に把握する意味でも、定期的なチェックや、事前に行われる仮組みがとても重要なのですね。
万全の状態でライブレコーディングを行えるように、さまざまな注意や工夫がされていることを知りました。
ちなみに、このマスターや録音に関するお話を聞いたのは2011年12月上旬頃でした。
その日を逃したら数週間先まで熊田さんのスケジュールが合わなそうだったので、『年内に!!』と大慌てでスタジオにいる熊田さんを突撃したのですが、考えてみれば、それもそのはず。
コンサート・イベント事業は、いわゆる“繁忙期”の真只中です!
12月のオデッセイの出動状況を聞いたところ、なんと出動しない週はないとのこと。
毎週のオデッセイが可動するプログラムに加え、録音中継車を用いないライブ録音もあり、更にStudio A & Studio Bで進行されるスタジオのプログラムも、入れ替わり立ち替わりで詰まっているようでした。(ちなみにレコーディングのスタッフは全5名です!)
録音中継車オデッセイにも録音スタジオにも、まだまだ面白いエピソードがたくさんありそうです!
今度は、ライブレコーディングの現場で活躍するオデッセイを紹介したいなと思いました。
さて、複数回に渡ってブログを書くのは、初の試みでしたが、最後までお読みいただきました皆様、ありがとうございました!
これからも、お付き合いくださいね!それでは、また☆
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