マスターとサブマスター(1) - 唯一無二の存在

こんにちは!広報のhiroです。

私が手にしている、この赤い物(↓)。ヒビノのある部署で使われる“シール”です。

その部署から依頼をうけまして、原稿データの作成など印刷の手配をお手伝いしたものです。

シールの内容は「MASTER」と「SUBMASTER」の2種類があります。


このシールの注文主は、コンサート音響(PA・SR)&ライブレコーディングを行っているヒビノサウンド Div.の、レコーディング課です。


いったい何に貼るシールかというと、レコーディング&ミキシングされた“音”が入っている記録媒体です。


・・・。私の文字だけでは伝えきれない気がしたので、実物を見せてもらうことにしました!

ヒビノサウンド Div. レコーディング課のチーフエンジニア熊田さんを訪ねてスタジオへGOです!


まずは、ヒビノの「レコーディングスタジオ」をちらりご紹介。

ヒビノの本社には、STUDIO A(写真上)と、STUDIO B(写真下)があります。

そして、下の写真が、実際にシールが貼られた“マスターメディア”。

プログラム名の部分は、私がちょっと隠してしまいましたが、今年行われたライブレコーディングのマスターメディアです。

全ての作業が完了し、完成した音のデータが入っています。

外付けHDD(ハードディスクドライブ)の本体と、HDDを入れる保管箱の上と側面に、「タイトル」と「MASTER」のシールがはられていました。

 

昔は、音の記録媒体といえば「磁気テープ」という時代もありましたが、近年の録音におけるデファクトスタンダードは、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)「Pro Tools」です。

「音」を「データ」で扱うことが主になっています。


写真のような記録媒体を、単にマスターと呼ぶこともありますが、磁気テープの場合は「マスターテープ」、現在のHDD等は「マスターメディア」と呼ばれています。


マスターは、この世に1つしかない貴重な音源。計り知れない価値をもつものです。

「SUBMASTER」は、マスターを複製して作られるもの。

マスターの代用やバックアップの役割があり、マスターがあれば必ずサブマスターも作られます。


HDDの場合、マスターとサブマスターで、音質の違いはないそうですが、磁気テープの頃は、そうではありませんでした。もちろんマスターが最高!

マスター(親)から複製したサブマスター(子)、そのまたコピー(孫)と、世代が進むにつれて信号の損失が生じ、ジェネレーションで音の違い(※)がありました。

(※電気的に確かな差がありますが、この差を耳で判断できるのはプロぐらい。普通は分かりません。)


マスターは、世界にたった1つ。唯一無二の存在。


私が、それを強く感じたエピソードがありまして、日本で録音した音源(磁気テープ)を、海外のレコーディングスタジオへ持って行き、トラックダウンなど続きの作業を行う場合に、『マスター』と『サブマスター』のテープを別々の人間が、異なる便の飛行機に乗って、肌身離さず持ち運んだというお話です。

万が一、道中で不測の事態に見舞われて、不可抗力とはいえ、テープを諦めざるを得ない状況になったとしても、「MASTER」か「SUBMASUTER」、一方だけでも残るようにするため。

例え何があっても、その音源を完全に失うことがないように、徹底的にリスクを回避しているのです。


これは、音の記録媒体がHDDとなった今でも一緒。

例えば、マスターメディアの到着が完了するまでは、サブマスターを現地で保管し、マスターメディアの到着と、内容の無事が確認できてからサブマスターを送るといった事が行われているそうです。


取り扱いや保管などにも、細心の注意が払われているマスター。

今も昔も、超VIP待遇です!(ちょっと違うか・・・)

録音機器や記録媒体が変化しても、マスターがもつ役割や本質は変化しないのですね。


まだまだ、この続きを皆様にお伝えしたいのですが、長くなってしまいそうなので今日はこの辺で!また次回!!来年早々にお届けします☆

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎え下さい!