おはようございます。広報のhiroです。
突然ですが、当社グループの製品群に「ルームチューニング材」と呼ばれるものがあります。
日本音響エンジニアリングが開発する柱状拡散体Acoustic Grove System(AGS)がそうです。
▲ 柱状拡散体Acoustic Grove System(AGS)
AGSは、太さの異なる円柱をいくつも組み合わせた木製の機構。
部屋の音響特性を調整するアイテムで、建築音響のカテゴリーに入るわけですが、これを「野外の音楽イベント」で使うという情報が舞い込んできました。
私の認識では、AGSは音を拡散することで「定在波」や「音の溜まり」の改善に大きな効果を発揮する魔法の木です。しかしながら、改善を要するレベルの定在波は、壁と天井で囲われた空間(=屋内)だから起こるものではなかっただろうか?
音の反射や響きが少ない『野外』でAGSを何台も使うとは、いったいどういうことなのでしょう。
なんだか面白そうな予感がします。聞けば、びわ湖に面した特設ステージで行う「野外オペラ」公演に活用されるというではありませんか。
『素敵!もうワクワクしか感じない!』
というわけで、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールへお邪魔してきました。
音楽の祭典「近江の春びわ湖クラシック音楽祭2018」へ!
昨年5月3日から5日に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(大津市)で「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2018」が開催されました。大・中・小ホールやメインロビーなど「びわ湖ホール」を中心に、屋外広場や湖上の客船まで舞台として33の有料公演と約40の無料公演が行われる音楽の祭典です。
オーケストラ、室内楽、声楽、吹奏楽から伝統芸能まで魅力的な演目が目白押し。
来場者はタイムテーブルをチェックしながら「次はこの公演を観ようよ」「今度はあっちの会場だ」と朝から晩まで音楽を満喫していました。
上の写真はメインロビー会場の「レイクビューコンサート」(無料公演)。大盛況です。
私のお目当ては、野外オペラ(とそこで使われるAGS)でしたが、このステージにもAGSが活用され、大きな効果を発揮していました。
ピアノの下。床置きタイプのAGS「ANKH-VI」です。
通常、ロビーは演奏空間として設計されていないので、音の響き方や聞こえ方は、演奏者にとっても観客にとっても最良とは言えません。そこで活躍したのが部屋の音響特性を調整するルームチューニング材AGSでした。
ピアノの下にAGSを1台置くだけで、楽器の周囲だけでなくロビー全体の音環境ががらりと変わりました。広いロビーの全体までは届きにくかったピアノの音が、まるで飛んでくるみたいに聞こえるようになったのです。
前日のリハーサルで、このAGSを置いたり、外したり、位置を変えたりと試す場面があったのですが、AGSを動かすたび音の聞こえ方が変わっていくのが、はっきりと分かりました。AGSが屋内環境で大きな効果を発揮することは前々から知ってはいたけれど、あまりにも明白な変化を体感し、驚きと面白さで笑ってしまったほどでした。
構造や仕組みを頭で理解していても、聴感上におこる変化は実に不思議で、私の中の「魔法の木」という印象は強まるばかり・・・。
このAGSが野外ステージでどのように使われ、どんな効果を発揮するのか、ますます楽しみになります。
次回は、びわ湖クラシック音楽祭2018の目玉公演である「かがり火オペラ ヘンリー作曲 歌劇『ディドとエネアス』」をレポートします!どうぞお楽しみに。
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