おはようございます。広報のhiroです。
前回に引き続き、ヒビノがPA(コンサート音響)を担当したEARTH×HEART LIVE 2017 for Children 大仏開眼(かいげん)1265年慶讃(けいさん)についてご紹介いたします!
会場となったのは東大寺(奈良県奈良市)。
日本最大の国宝建造物である東大寺大仏殿の前にコンサート会場が造られました。
音響システムの随所に見られた屋外ライブ特有の光景に加え、大仏殿の中に設置した音響機器などもお見せします!
写真をながめるだけでも、楽しんでいただけるのではないかなーと思います。
どうぞお付き合いくださいませ!
(コンサート当日までのあれこれは、前の記事「晴れ女の本領発揮!?奈良・東大寺の野外コンサート「EARTH×HEART LIVE 2017 for Children」の取材へ行くまで」をご覧ください。)
■大仏殿の前に現れた特設ステージ
特設ステージは、東大寺大仏殿の前に設置されました。
仏閣という尊い場所であることはもちろん、東大寺は国宝建造物であり、古都奈良の文化財として世界遺産にも登録されている貴重な文化遺産です。
なんというか、もう、どえらい場所で開催されるコンサートなのです。
ステージは前後2段の構造で作られていました。
客席に近い手前の舞台は歌唱や朗読が行われるメインステージで、奥の一段高い舞台はオーケストラやコーラスが演奏を行うステージです。
▼正面の建造物は大仏殿。ちょっと分かりにくいですが、大仏殿の前にある白く見えるところが一段高い奥のステージ。その手前、黒く見えるところがメインステージです。
メインステージは、大仏殿の前にある「八角燈籠(はっかくとうろう)」(これも国宝)が中央にくるよう設計されていました。本番の演出を見てこの構図の意味を知ることとなります。それはまた次回お話しますね。
■音響機器と雨対策。野外現場ならではの光景
(1)FOHのスピーカー(客席に向けたスピーカー)
それでは、客席エリアに設置したスピーカーを紹介していきます。
まずはメインスピーカー。JBL PROFESSIONAL VTXです。
フライングスピーカーを覆っているのは防水カバーです。
表面の黒いカバーは当社オリジナル。このカバーは本番中もずっと付けたまま、撤収時まで外しません。スピーカーの出音(でおと)に影響を及ぼさないよう、生地は厚みや素材を考慮し防水ネットを採用しています。
裏面を覆っているのはビニールです。表側は極力音の損失がない素材を用いていますが、裏面は出音に影響しませんので厚みのある丈夫なビニールを使っていました。スピーカーの背面はコネクタ(配線の接合部分)がありますからね、浸水は命取り。雨風の対策には最大限の注意をはらっています。
▼サブウーファー。転倒防止のベルトをかけて厳重に固定しています。
地震や暴風など、万が一の際にも決して倒れることのないようマニュアルに沿って安全に運用しています。
客席エリアには、上記の他にもいくつかのスピーカーを設置していました。
メインスピーカーの音が届きにくいエリアを補うサブスピーカーです。
東大寺に限らず大規模なコンサート会場では、メインスピーカーを補助するサブスピーカーを設置し、全ての客席に均一な音を提供できるようにしています。
▼サブスピーカー JBL PROFESSIONAL VRX。主に前方端の客席をカバー。
▼サブスピーカー CODA AUDIO。中央前方(ステージの目の前)の客席をカバー。
(2)ステージ上のマイクロホンとスピーカー
つづいてステージへと移動します。
出演にオーケストラが含まれることもあり、舞台上のマイクロホンは100本以上。
その一つひとつに雨除けのビニールがかっていました。
これ(↓)は、本番の4~5時間前(14~15時頃)の光景です。
ちなみに17時半までは東大寺の拝観時間ですから、音の出る作業は行いません。
スピーカーを鳴らすサウンドチェックやリハーサル等は、前日と前々日の夜に行われました。
▲日が差していますが、晴れていても雨除けのビニールは必須。雨が降ってからでは遅いのです。どんなに降水確率が低かろうと雨対策に手を抜くことはありません。
またマイクロホンは湿気にとても弱いので数日にわたる野外現場では、その日の作業が終了するたびに撤去し、夜間は専用ケースの中で保管します。今回の現場も同様です。前日のリハーサル終了後、舞台上のマイクロホン100本以上を全て取り外して保管。翌日、再度セッティングしました。
つづいて舞台上に設置したスピーカーをお見せします。
アーティストに聞かせるための音を発するモニタースピーカーです。
雨対策のカバー(ビニール)がかかっています。
このビニールの厚みは、メインスピーカーの裏を覆っていたビニールの三分の一。
ものすごく薄いモノを採用しています。薄い方が音を通しますからね。
▼モニタースピーカーCODA AUDIO CUE FOURには同社製のカバーをかけています。
防水仕様です。音が出る面(ロゴが印刷されている面)の生地は薄い素材になっており、雨天ではこのカバーを付けたまま使用できます。
▼スピーカーケーブルのコネクタ(ジョイント部分)は、厳重に養生されています。
モニタースピーカーに限らずケーブルの接合部分は全て同じように養生していました。
万が一、雨に濡れてショートでもしたらアンプがとぶなど機材の破損にもつながりますし、何よりとても危険です。たとえカンカン照りの晴天だったとしても、屋外では欠かすことのできない重要な作業です。
開場時刻がせまった夕刻、マイクロホンやモニタースピーカーにかけていたビニールを一斉に外します。
▼雨除けのビニールが外されたコーラスのマイクロホン。間もなく本番です。
▼モニタースピーカーのカバーも外され、CODA AUDIO CUE FOURが顔を出しました。
ここからはもしものお話ですが、メチャクチャに雨が降って大量の雨粒がステージ上の機材を直撃するような場合には、ビニールをかけたまま運用することもあります。なので、モニタースピーカーやマイクロホンにかけるビニールは非常に薄い素材を採用しています。
それでもマイクグリル(収音部分)を覆うわけですから、全く感度が変わらない・・・というわけではないのですが、収音品質に問題のない素材を用いているのです。
(3)PAブース(ハウス)
客席エリアの後方に設置されていた黒いテントがPAブースです。
▼コンソールはSoundcraft Vi6。
ミキシングコンソールをはじめ、重要な機器を多く設置しているので、リアパネル面をビニールで覆い、雨やほこりから防御します。このビニールは厚いタイプ(メインスピーカーの裏に使っていたものと同じ)です。
(4)大仏殿内に設置した音響機器
コンサート開催の2時間前、大仏殿に関係者が集まり特別奉納が行われました。
この法要では、司会進行用に小規模なPAシステムを設置しオペレートしました。
コンサートの出演アーティストが大仏様に歌や演奏を納める歌唱奉納は、アカペラです。厳格な雰囲気のなか、素晴らしく魅力的な歌唱と大仏殿特有の響きが合わさり、胸が震えました。
▼写真中央の柱の前にスピーカーCODA AUDIO G512を設置しています。
▼ミキサーはSoundcraft Si Compact。
次回はコンサートレポートをお届けします
お待たせしました。ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
次回はコンサートについてレポートさせていただきます。どうぞお楽しみに!
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