こんにちは。経営企画の櫻井です。
毎日暑い日々が続いております。夏本番ですね。
みなさんは夏といえば何を思い浮かべますか?
私の夏の代名詞は「野外音楽フェス」です。
ちょうど梅雨明けの頃に開催される、ある野外音楽フェスに行くことが私の年中行事になっています。
このフェスに行くと、「今年も夏が始まったなぁ~」とこれから来る夏を感じてワクワクした気持ちになるんです。
ヒビノもコンサート・イベントの繁忙期に突入。
夏場、ヘルメットを着用しての現場作業は、頭部が密閉された状態が続いて本当に過酷なのだそうです。
熱中症などに十分気をつけてがんばってほしいです。
先日、ヒビノに入社して云十年という大ベテランの先輩と打ち合わせをする機会がありました。
せっかくなので、ずっと知りたいと思っていた夏の野外現場についていろいろ話を聞かせてもらい、「夏の野外現場=自然との闘い」だと教わりました。
というのも「暑さ」、「雨」、「風」などから機材を守るために、さまざまな対策を講じているのだそうです。
まず、雨天対策。
機材にとって雨は宿敵。
というわけで、野外の現場で一番気になるのは天気です。
通常、屋外のライブやイベントでは、PAブースに雨避けのテントが設置されますが、それだけじゃ十分じゃないんですね。
水が浸入して機材が故障しないよう、また、感電リスクを回避する目的でも、しっかりとした“養生(ようじょう)”が重要です。
機材を仕込むときは、天気予報で“今日は雨が降らない”と予想されている日でも、必ずこの作業に相当の時間を割いています。
はじめに、水の浸入経路となりそうな箇所(たとえば、雨が降ったときにテントから滴り落ちる水のルートなどは要チェック)をあらかじめ予測して、透明のビニールとガムテープを使って隙間なくふさいでいきます。
濡れてしまってからのガムテープ養生は、用を成しません。
特に、ミキサーなどのセンシティブな機材は、細部にわたって丁寧に養生します。
そして、ブルーシートを常に脇にスタンバイしておいて、とっさの雨に備えます。
また、ステージ上のモニタースピーカー(ころがし)には、通称“シャワーキャップ”という専用のカバーをかぶせます。
▲雨天対策を施したモニタースピーカー
さらに、リアルタイムレーダー(降雨の状況を10分更新で見ることができる国土交通省 防災情報提供センター提供のサービス)で雨雲の動きを常に監視していて、「あと10分後に雨が降るぞ!」なんて会話が飛び交うことも。
そのくらい野外の現場では雨に敏感です。
続いて、暑さ対策。
最近、現場で使用する機材は、デジタル機材がメインになってきています。
デジタル機材はアナログ機材に比べて熱に弱く、機材自身から発せられる熱に、真夏の高温と照りつける直射日光が加わって、故障してしまう恐れがあるのだそうです。
ブルーシートは機材を雨から保護する役割がありますが、こうした過酷な環境では、シートをかけたまま放っておくとどんどん熱がこもってしまいます。
そこで登場する救世主が、“スポットクーラー”です。
皆さんも音楽フェスなどの会場で、この大きなホースを見たことがありませんか?
もちろん人が涼むために使うこともありますが、ヒビノでは機材を冷やすために大活躍しています。
①冷風の吹き出し口に筒状のビニール袋を装着
②ビニール袋の端っこを結ぶ
③ビニールに穴をプツプツと開けて、風を送る
こうすると、まんべんなく冷気が行き渡り、機材を熱から守ることができるという仕掛けです。
今ではこの手法は定番化しているそうです。
話の最後に、その大先輩に「野外音楽フェスがほかの現場と違うところは?」とたずねたところ、「ホール現場の何倍もの気配りが必要ってことかな」と一言。
まさに、自然との闘いが繰り広げられている現場ということですね……。
でも、その後にこんな言葉が付け加えられました。
「野外音楽フェスのように仕切りのないオープンなエリアで音を鳴らす爽快感や、音の広がり方っていうのは、ほかでは味わえない格別なもんだよ!!」
ステキだな~って思いました。
野外音楽フェスって、そこでしか起こらないようなパワーや一体感で満ち溢れている気がします。その波動が次々に広がって、みんなが笑顔に、元気になれる場所だと思います。
カンカン照りの太陽も、青空も、雨も、虹も、夕暮れも、そのすべてがフェスを彩る要素。
スタッフの苦労なんて露知らず、突然の雨にむしろ演出かのような盛り上がりを見せることも……。
でも、こうして雨のフェスを楽しめるのも、私の目に見えないところで、プロのノウハウ、心構え、数々の努力があるからなんですよねぇ。
オーディンエンスの笑顔の裏側をちょっとだけ知った気になったところで、今度音楽フェスに行くときには、その言葉を思い出しながら楽しみたいと思いました。
皆さんも楽しい夏をお過ごしください。
それでは!
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