デジタルラジオとマルチメディア放送

自宅のテレビは既に、地デジ化が終わったものの、愛車の地デジ化が済んでいないSignです。運転中は、CDかラジオを聞いてるし、一応ワンセグチューナーも入っているので、「車の地デジ化は、お財布に余裕がある時で良いかな?」と思ってます。

ところで、ヒビノグループではここ数年、来る地上デジタル放送への完全移行(注)に向け、在京キー局を始めとしたテレビ局に、デジタル機器更新案件を多数手掛けてきました。

最近の納入実績についてはヒビノグループ納入事例一覧で紹介していますが、テレビ放送と同様に、ラジオ放送にも地上デジタル放送があるのをご存知ですか?

地上デジタル音声放送(通称:デジタルラジオ)と言うのですが、2003年10月から実用化試験放送を開始し、東京地区では2011年3月に試験終了となっています。

受信するには、専用の受信機や地上デジタルラジオ対応の携帯電話端末が必要だったものの、通常のラジオと比較してノイズの少ない音声で楽しめ、番組情報や静止画・簡易動画などが入手できるものでした。

カーオーディオに標準装備でデジタルラジオの受信が出来れば、長距離ドライブのお供に最適だと思うんですが・・・。

実用化に向けた試験放送は終了しているものの、ラジオ局でもデジタル化の動きがあったはず!ラジオ局に多数の納入実績のあるスチューダー・ジャパン-ブロードキャスト株式会社(以下、SJB社)の営業担当の方に、お話を伺って来ました。


ラジオの地上デジタル放送の話は、いまどうなっているのでしょうか?

2011年3月に実用化試験放送は終わったけれど、ノウハウはV-Low(VHF-Low帯)マルチメディア放送に引き継がれています。地上デジタル放送とは違うけど、ラジオのデジタル化と言えば、radikoとかサイマルラジオで通常のラジオ放送と同じ時間帯に違う形態で放送しているラジオ番組や、コミュニティFM局の番組によっては、自社製作の番組のアーカイブを自局のホームページ上で公開しているところもあるようです。


SJB社の過去の納入実績を調べてみると、ラジオ局への実績がいくつかあり、radikoで番組配信しているラジオ局が多いように感じたのですが、地上デジタル音声放送との関連性はあるのでしょうか?

直接は関係ありません。ラジオは、歴史が古い分各放送局の特色が制作者にも引き継がれています。ラジオ番組の制作現場は、古くは全て各局の運用スタイルに合わせたカスタムメイドの国産を使用していました。ところがデジタル音声卓の登場やコスト重視の生産製品はカスタム化の条件が制約されてしまいます。スチューダーは97年に発売のOnAir2000で既に欧米で培ったワンマン・スタイル、アナウンサーやディレクターが直接操作できる環境から技術者も満足できる幅広いプラットフォームを実現することができました。カタログ製品なのに音声卓を設計するくらいのカスタマイズ。音だけのことではなくラジオ番組を進行するため必要な制御をも連携させる機能を持つ。人にやさしいインターフェイスは番組を運行する方々へ安心感と信頼を与えています。


株式会社エフエム岩手様


株式会社エフエム福島様


各モジュールを組み合わせて自由にレイアウトできるOnAir3000 modulo


テレビ局ではアナログ放送から地上デジタル放送への切り替えで、デジタル機器への機材投資を活発にやっていましたが、ラジオ局でも同じような感じだったのでしょうか?

ほとんどのラテ局は(中波局はテレビと兼営なので)テレビの地デジ化を必須として、ラジオの設備は滞っている現状です。恐らくテレビの地デジ化のために待たされたラジオ設備の更新が間もなく開始されるでしょう。

マルチメディア放送とは、放送波や通信回線を使った新たな放送形態で、日本では特に携帯端末向けマルチメディア放送(移動受信用地上放送)として2012年春以降の実用化試験を目指しています。地上アナログ放送の停波によって、利用が可能となったVHF帯(1~12ch)は、大きくV-Lowマルチメディア放送とV-High(VHF-High帯)マルチメディア放送、警察や消防などの公共ブロードバンドに分けられ、いずれも“テレビ以外の携帯端末向け放送”に利用される予定です。

VHF-High帯は全国に同じコンテンツを送信することになっているのに対し、VHF-Low帯は地域別の異なった情報を送信できるため、地域情報メディアとしての活用が検討されています。中でもラジオ放送は、番組の自社制作比率が高く、防災情報の提供など地域住民にとって重要な情報ツールになっていることからデジタルラジオとしてVHF-Low帯への移行が注目されており、VHF-Low帯でのラジオ放送が始まれば、受信環境の改善やCD並みの音質での放送、受信機器によっては5.1chサラウンドでの再生や多言語での番組放送など、サービス開始に向けた今後の展開が気になります。



テレビやラジオの放送がアナログ放送からデジタル放送に、それに伴い使われる機材もアナログ機からデジタル機に変わってきていますが、ちょっとしたミスが大きな事故に繋がることもある放送業界のお客様に対して、これまでもこれからも高品質な商品とシステムの提案を継続していくことがヒビノグループに課せられた使命なんだと改めて感じました。