ヒビノスペーステックが「つのだ☆ひろ チャリティーコンサートin身延」を主催。Smart Hall構想で実現したイマーシブライブビューイング

山梨県で桜が咲き始めた2021年3月14日に身延町総合文化会館(山梨県身延町)にて、メリージェーン等の大ヒット曲で有名なつのだ☆ひろさん出演のコンサート「つのだ☆ひろ チャリティーコンサート ライブビューイングin身延」をヒビノスペーステック株式会社主催のもと開催しました。


実は、このコンサート、足掛け2年の月日をかけてようやく開催にこぎつけたコンサートでした。


きっかけは、2019年に身延町総合文化会館様の音響設備のリニューアルを担当させていただいたことに始まります。設計・施工を進める中、会館の「もっと町民の方に利用してもらいたい」という思いに対し、音響、映像、音楽、ライブのプロフェッショナルが集まる「ヒビノグループ」としてプラスアルファのお役立ちができないだろうかと、プランニングセクションと議論。町民の皆様に向けたお披露目会の開催をご提案しました。


こうして、音響システムの設計・施工・納入案件を追いかける形で、竣工後のお披露目イベント(コンサート)の企画・運営プロジェクトが走り出します。


どのアーティストにご出演いただこうかと考えていたところ、ヒビノグループのライブハウス事業を担うヒビノエンタテインメント株式会社から、東京・銀座にあるケネディハウス銀座で人気のライブをやっていただいたことのある、つのだ☆ひろさんが良いのでは?と提案があり、ご本人の了承を得て進めました。


つのだ☆ひろさんは、企画に込めた当社グループの想いを十分に理解してくださり、コンサートの演出にも色々とアイディアを出していただきました。


例えば、町民の皆さんがより楽しく参加できるように、自ら地元のコーラスサークルにレッスンをして、一緒に合唱をしながら音楽や楽器演奏の楽しさを体感してもらうなどの案です。


お披露目コンサートに向けた打ち合わせの模様(2019年12月)


しかし、開催予定だった2020年の3月は、新型コロナウイルスの蔓延もあり、残念ながら延期を余儀なくされます。


そして、2021年。どうにかこのコンサートを安全に開催する方法はないかと考えた結果、ヒビノグループで2015年から実証実験を重ねてきた「Smart Hall®(スマートホール®)」をベースとしたイマーシブライブビューイング形式で実施することが決まりました。


Smart Hall®は、ネットワークを活用して空間と空間をスマートに接続する構想です。この、ヒビノグループが提唱する新時代のライブストリーミングフォーマットは、「大空間×大空間」で繰り広げる”新しいエンタテインメントの形”を提供します。ホールや劇場、アリーナやスタジアムなど、エンタテインメントやスポーツのイベントが行われる会場の内外をネットワークで”スマート”に接続。「双方向」、「リアルタイム」というキーワードに加え、ヒビノが得意とする大空間における映像・音響の運用技術、空間演出技術を活用し、双方向につながる複数会場から、大勢のお客様が「臨場感」と「没入感」を堪能できる、そんな空間づくりを実現するプロジェクトです。高品質なライブ映像だけでなく、マルチオーディオトラックや照明の制御信号を低遅延で伝送することにより、ライブビューイング会場でもメイン会場と同等の体感が可能となるAnother Realityを創り上げます。


今回つなげる空間は、ライブビューイング会場の「身延町総合文化会館」と、演奏を行う中継会場「ケネディハウス銀座」(東京・銀座)です。


イマーシブライブビューイングでの開催が決定した時点で、本番までの残り時間は1か月と少し。急ピッチで様々な準備を進めました。


まずは、回線の確保です。

IPv6折り返しという手段も考えましたが、やはり高品質な映像や音声を届けたい。

2年越しで届けるつのだ☆ひろさんのエキサイティングなライブパフォーマンスです。待ち焦がれていた身延町の皆さんに、少しでも銀座のリアルな熱気をお届けするため、専用線を敷設し広帯域での通信を実現させることにしました。

ケネディハウス銀座は、高架下という少し特殊な場所にあるライブハウスなので、何度も現地調査を行い、迅速かつ綿密に計画を立てていきます。


また、コンサートのセットリスト(曲順)では、ライブの熱気や興奮を演出することはもちろん、コロナ禍に必要な対策も考慮しました。事前に収録した演奏映像を途中に挟むことで、中継会場の換気時間を確保したり、アーティストの皆さんの密集を最小限にするなど、様々な安全対策も計画して本番に臨みました。


こうして、身延町総合文化会館のお披露目イベント「つのだ☆ひろ チャリティーコンサート ライブビューイングin身延」がついに実現。


銀座から熱いライブパフォーマンスを身延町へ送るのと同時に、身延町会場の声や拍手など客席の盛り上がりを銀座に送り、空間を結びました。身延町の皆さんには、まるで目の前につのだ☆ひろさんがいるかのごとくライブをお楽しみいただけました。往年のディスコメドレー、大ヒット曲メリージェーン、さらに、つのだ☆ひろさんから身延町の皆さんに打楽器の寄贈のサプライズなど盛りだくさんなコンサートとなりました。


あっという間の70分でしたが、ヒビノグループが設計・納入した新設の音響システムで奏でる心地よいサウンドに、参加された身延町の皆さんからは束の間の楽しみになったとの反響もいただけて、関係した当社スタッフ達が勇気づけられた、そんな一日でした。


「つのだ☆ひろ チャリティーコンサート ライブビューイングin身延」にご参加いただいた身延町の皆さん、お世話になった身延町総合文化会館の皆さん、本当にありがとうございました。



【納入実績紹介】

身延町総合文化会館 様

最後に、ヒビノスペーステックが設計・施工、納入を担当した音響・映像システムについて少し紹介します。

ホールの音響システムには、DiGiCoのデジタル・ミキシングコンソール「SD11i」、メインスピーカーにCODA AUDIOのラインアレイ・スピーカー「APS」を選定し、音の入口から出口までサンプリングレート96kHzという高解像度で駆動する高音質なシステムを構築しました。複数のスペースに高品位なサウンドを効率的に提供するオーディオ・インストレーション・プラットフォームDiGiCo「4REA4」をシステムの中核に据えることで、各種フォーマットの伝送変換、複数個所への音声信号分配、調整室や舞台袖からのシームレスな制御を行えるようにしました。また、録音室、レッスン室、会議室、メディアルームなどの音響システムもデジタル化。館内のすべての音響システムを光ケーブルで結び、音声信号の送受信や機器の制御が様々な場所から行えます。ホールと諸室を連携させた興行など幅広い運用に貢献いたします。

映像設備についても、AMXのIP伝送システム「SVSi」でネットワーク化し、すべての映像システム(エントランスのデジタルサイネージ、劇場の大型プロジェクター、会議室のテレビモニター、防犯カメラ等)を一つのシステムに統合しました。

高品質かつ自由度の高いシステムは、各施設の用途を限定することなく様々な興行スタイルに対応。将来の多様な運用に即した設備となっています。


■主な納入機材

機材 / ブランド名 / 製品名

  • カラムスピーカー / CODA AUDIO / APS、APS-SUB
  • プロセニアムスピーカー / CODA AUDIO / APS
  • ステージフロントスピーカー / CODA AUDIO / D5-Cube
  • 移動型スピーカー / CODA AUDIO / TiRAY、TiLOW
  • モニタースピーカー / CODA AUDIO / G512
  • パワーアンプ / CODA AUDIO / LINUS14D
  • デジタル・ミキシングコンソール / DiGiCo / SD11i
    拡張マイクプリアンプカード / DiGiCo / MOD-SDR-ADC32B


ステージ両サイドのカラムスピーカーCODA AUDIO「APS」、「APS-SUB」


仮設用の移動型スピーカーCODA AUDIO「TiRAY」「TiLOW」


舞台袖のミキシングコンソールDiGiCo「SD11i」


会館の音響システムの中核DiGiCo「4REA4」が収まる調整室のラック


■納入年月

2020年3月