LEDディスプレイなど大型映像システムの設置とオペレーションを担当したのはヒビノです。
新設会場である東京アクアティクスセンターで行われる初の競技会。プールサイドにLEDディスプレイを設置したのも初めてでした。JAPAN SWIM 2020に照準を合わせ開発してきた当社の新システムもついに初稼働となった「初づくし」の現場。
私、ヒビノ広報のhiroが夢にまで見た現場の一つでもありました。この熱量、2回に分けてお届けします。第1回は、仕込み日のレポートです。
INDEX
・仕込みの一日に密着
・【搬入】機材量は大型トラック2台分
・【設置】2チームが連携して遂行
・【調整】こだわりが生み出す品質と信頼
仕込みの一日に密着(機材の搬入、設置、調整)
12月1日(火)午前11時45分、ヒビノの映像チーム総勢13名が現地に集合しました。必要書類(※1)を提出し、正午に入館です。
(※1)2週間前から体温を記し続けた健康確認シートの他、新型コロナの感染拡大を防ぐための確認書類を全員が提出します。もはやコロナ時代の常識ですね。スポーツ大会に限らず、イベントに携わる全ての人が開催の安全と成功を守るため、あらゆる対策を実行し続けています。
【搬入】機材量は大型トラック2台分
12:10 施設の搬入口にヒビノの映像機材を積んだ大型トラックが到着しました。待ち構えていた当社チーム13名が搬入を開始します。
物量は11トントラック2台分。1台は「LEDディスプレイ(画面)」を、もう1台には「映像送出システム」とLEDスクリーンを建て込むための「部材」を、2台ともほぼ満杯に積んできました。
LEDディスプレイ ▲「Carbon5」×8ケース。一つのケースにLEDパネルが12枚入っています。▼HIBINO「G8 Black」。8枚のLEDパネルをまとめて運べる仕様です。
▲送出システムの機材 ▼LEDディスプレイを建てこむための部材
12:40 すべての機材を会場に入れ終えました。30分足らずの搬入作業。順調です。
ちなみに「搬入も搬出も、全くストレスなくスムーズだった」と当社スタッフ。
大会終了後は全ての機材を持ち帰るわけですが、撤去の際、積込のタイミングが他の会社さんとバッティングする場面がありました。しかし!両社のトラックを同時に搬出口へつけることができたため、待つことも、お待たせすることもなし。撤去の積込で順番待ち・・・ってイベント現場ではままある光景なのですが、東京アクアティクスセンターの搬入・搬出条件のよさ、素晴らしいです。
【設置】2チームが連携して遂行
13:00 二手に分かれて設営を開始。プールサイドの「LEDディスプレイ(2面)」を9名で、映像ブースの「送出システム」を2名で組み上げていきます。
LEDディスプレイは、一つ目のプールサイド(長編)のバナー型LEDスクリーンから設営開始です。機材は8mmピッチLEDディスプレイHIBINO「G8 Black」。パネル72枚を横に連結し46メートルの超ウルトラワイド画面を作ります。
▲プールサイドの2辺に等間隔で並ぶ黒い箱のようなものが持ち込んだLEDパネル。
今回、搬入や設置作業で気を使ったことの一つが、プールサイドの床全面に採用されている「タイル」でした。
映像機材のほか、建具や安全対策のウエイト(1個20kg)なども大量に持ち込むため、ヒビノのカーゴ台車は、モノによってむちゃくちゃ重いのです。
搬入・設営は、主要な導線にコンパネ(養生の板)が敷かれており、機材はその上を運ぶわけですが、なにせ重量物。コンパネから床へガタンと下ろしただけでもタイルを割る可能性が考えられます。まあ、これはプールに限ったお話でなく、屋内だろうが屋外だろうが設置場所の素材と耐久性は、注意ポイントです。今回は、素材がタイルな上に真っ白ときた・・・。『絶対に傷つけない。絶対に汚さない』という緊張感とともにデッキブラシまで持ち込んで作業にあたりました(ブラシを使うシーンはなかったです)。
本番では大型映像の使命を果たし大会の成功に貢献したことはもちろん、オリンピック開催前に会場に『使用感』を刻むこともなく、一安心といったところですかね。さて、仕込み日の話に戻ります。
13:50 プールサイドのバナー型LEDスクリーンが組み上がりました。全長46mは迫力があります。
休憩をはさみながら、72枚のLEDパネルをケーブルでつないだり、ケーブルコネクターの養生(野外はもちろん濡れる可能性のある現場では必須)をしたりと作業は続きます。
14:00 映像ブースをのぞくと、主要機材の配置が完了しシステムの配線作業が進んでいました。▼
14:30 2つ目のLEDディスプレイをスタートバック(スターティングブロックの後方)に設置し始めます▼。機材は5mmピッチLEDディスプレイ「Carbon5」です。92枚のLEDパネルを横46枚×縦2段(W22.7m×H2.4m)で組み上げます。
ちなみに、こちらの↓支柱の土台に乗っかっている黒いキューブ型のものが前述の安全対策のウエイト。日本は地震の多い国です。たとえ大きな地震がきても倒れたり落下したりしないよう様々な安全対策を講じています。
15:30 映像ブースの送出システムには、既に電源が入りセットアップが進んでいました。▼
スタートバックのLEDディスプレイは、2段目の組み上げと1段目の配線が進行中。▼
下から上へ、スタッフが1枚ずつ手渡すLEDパネルは、重さ14.16kg、大きさ1.2m×0.6m。軽いのか、重いのか、ピンとこない方が多いと思いますがCarbon5は軽いです。(プールサイドのG8 Blackは1枚28.54kg、0.6×0.9m)
ちなみに、今回は「置き」での設置なので下段から組みますが、「吊り」の場合は上段から作ります(一段組んだら少し吊り上げ、次の段を組んではまた上げてという具合です)。
16:15 92枚目のパネルがはまって、スタートバックのLEDディスプレイが組み上がりました。▼
どちらのLEDディスプレイも、一度、設置したら完了・・・というわけでもありません。映像を表示しドット欠けなどの画面の表示不良をチェックして、対象箇所があればモジュールを交換します。状態は変化するものなので、会期中は毎朝この確認をしていました。今回のモジュール交換は、本番の4日間で5回くらいでした。
17:00 映像ブースの「送出システム」からプールサイドの「表示装置(LEDディスプレイ)」へケーブルを引き回し、両者をつなぎます。▼
ケーブルピットに沿ってケーブルを引き回したら、ふたをして格納完了。安全という意味でも、見た目の綺麗さという意味でも大切です。
そしてまた養生。電気機器なので、水に弱い接続部分(コネクタ)をしっかり養生しながら接続していきます。
【調整】こだわりが生み出す品質と信頼
18:15 「色」を固める調整作業、色調(いろちょう)が始まりました。
まずは、基本色の白を表示し、ハード(LEDディスプレイ・システム)で画面の色を調整。
通常はこれで完了ですが、競泳の現場では、つづいて素材の色をあわせる色調が始まります。
企業ロゴは、番号などで「色」が厳密に指定されているものが多いです。支給されたデータをそのまま使うのが大原則ですが、色とは難しいもので、映像装置の条件はもちろん環境光やアクリルの有無(※2)など機器以外の条件にも影響を受け、元の色と画面上で見る色が感覚的にずれる場合があります。
(※2)選手の至近や競技フィールド内にバナー型LEDスクリーンを設置する場合、安全を考慮しLEDパネルの前面にアクリル板を設置することがあります。水泳のほか、卓球Tリーグの現場がそうです。
LEDディスプレイにスポンサー全社の企業ロゴを表示。色見本と見比べながら、ほんの少しでも指定色と違って見えるロゴがないか、厳しくチェックしていきます。
色調が必要と判断したロゴは、一社一社、順番にLEDディスプレイへ表示しながら素材データを編集。画面で見る視覚上の色が、色見本と同じになるよう調整します。かかる時間はまちまちですが、一つのロゴに対し繊細な微調整を繰り返していくので、とても大切で、とても時間がかかって、とても根気のいる職人技です。
「よく知っている企業のロゴは、ほんの少しでも感覚と違うと『あれ?』と思うものだから、そういう違和感を誰にも抱かせたくない」と当社映像オペレーター。
色に対するストイックなまでのこだわりは、数あるヒビノらしさの一つです。この、こだわりの一つひとつが当社映像サービスの品質を守り、高め、お客様からいただく「信頼」を強固なものにしてきました。プロ魂ともいえる当社スタッフの精神を誇りに思います。
この後も、目指す品質を実現するための確認と調整が続きました。
新開発の映像送出システムも、無事に稼働することを確認▼。次回、詳しく紹介しますね。
20:45 完全退館の21時が迫り、初日の作業はここまで。機材の電源を落とします。素材の色調(初日では完了せず)をはじめ、残りの確認・調整作業は翌日に持ち越しです。本番は2日後。
21:00 全スタッフが会場を後にしました。完全退館。一日お疲れ様でした!
次回は、JAPAN SWIM 2020の本番レポートと、新たに開発したシステムの導入でより精度を高めた映像オペレートを紹介します。人的オペレートでは難しかったスポーツLIVEの映像演出を切り拓く新システム。開発秘話もどうぞお楽しみに。
本実績の担当は
コンサート・イベント大型映像サービスの当社ヒビノビジュアル Div.
私たちは、音と映像のプレゼンテーターヒビノ株式会社です。
【製品・商品・サービス】
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