東京モーターショートヨタブースに未来の街を出現させたヒビノの大型映像。目指したのは、今できうる最高品質

おはようございます。広報のhiroです。


以前の記事で、東京モーターショー2019トヨタブースがいかに斬新だったかを熱弁し、大型映像の価値が革新した『革命回』だったとお伝えしました。


今回はトヨタブースで「未来の街」をつくり出したヒビノの大型映像について紹介します。


INDEX
・大型映像の価値が新たになった革命回(おさらい)
・未来の街を出現させた大型映像装置。全長77.4メートルの高精細LEDスクリーンはヒビノ史上最大ピクセル

・目指したのは、今できうる最高品質

・業界に先駆けて導入した最新機材の数々

・初めてづくしの挑戦的なシステムが「トラブルなし」で成功を収めたわけ



大型映像の価値が新たになった革命回(おさらい)

ちょうど一年前。東京モーターショー2019でトヨタブースを目にした瞬間の衝撃は今でも忘れられません。


そこには、車(量産車)が一台もありませんでした。

新型車に代わるほどの目玉とは、一体なんなのか?


トヨタの出展は、未来を体感できる「モビリティのテーマパーク」でした。


同年の東京モーターショーは「OPEN FUTURE」をテーマに据え、クルマだけでなく「くらしの未来」に領域を拡張しました。これを率先して体現し、斬新なブースを展開したのがトヨタだったといえます。


来場者に次世代モビリティが走る未来の街を体験してもらうため、ブースに必要とされた要素は「人」「モビリティ」「映像」だったはずです。


元来、自動車ショーにおける大型映像装置の役割は、クルマを見せることでした。デザイン、走り、安全性といった価値を伝え、魅力を際立たせる演出装置です。


私は未来の街で一人雷に打たれた気持ちでした。自動車メーカーが、車に匹敵する役割を映像装置に持たせたのだと思い至ったからです。「モーターショーにおける大型映像の歴史が動いた。これは革命回だ」全神経が沸き立つほどの興奮を覚えました。




未来の街を出現させた大型映像装置

全長77.4メートルの高精細LEDスクリーンはヒビノ史上最大ピクセル

Photo by Masato Kawano (Nacasa & Partners Inc.)


映像システムの最大のトピックは「LEDスクリーン」そのものだったといえます。


ブースをぐるりと囲うメイン画面は、全長77.4メートル。

高精細モデルの3.125mmピッチLEDディスプレイ「Carbon3」を採用し、映し出した映像はW23,768ピクセル×H1,050ピクセル。横方向は8Kの3倍以上の画素数です。


ドームコンサートでも幅60mなどの巨大画面を組みますが、ピクセルピッチ(※1)が9mm以上のLEDスクリーンを使うことが多いです。画面から客席まで20mは離れているので、例え18mmピッチでも客席から遜色なくきれいに見えます。

(※1:ピクセルピッチはLEDとLEDの間隔。同じ大きさの画面でも、ピッチが細かいほどLEDの密度が高くなり高解像度の描写が可能。)


一方モーターショーは、至近距離から来場客がLEDスクリーンを見るため、より精細で解像度の高い画面が必要とされます。


「未来の街」という世界をブースに出現させる役割は、映像装置にゆだねられました。高精細なピッチのLEDスクリーンで壁面を埋めつくすしかありません。


全7面かつ8Kを超す、驚異的なピクセルコントロールを実現したシステムは、どのように構築されたのでしょうか。



画面①:3.125mmピッチ高精細LEDディスプレイCarbon3。サイズW77.4m×H3.6m(▲写真に写るのは右半分くらい)。ピッチの精細さに加え「軽さ」「薄さ」「物量が揃う」など様々な要件を満たす理想の選定だった。

画面②▲③▼:2.84mmピッチ高精細LEDディスプレイBlackOnyX2。W7m×H2.5m×2式(背中合わせで設置)

画面④:2.84mmピッチ高精細LEDディスプレイBlackOnyX2。W3.5m×H4.5m(▲中央の壁)/画面⑤:フロアタイプLEDディスプレイBlack Marble 5。W3m×D3m(▲床)

画面⑥:フロアタイプLEDディスプレイBlack Marble 5。W4.8m×D3.6m(▲床。上空から見た未来の街が映る部分)

画面⑦:3.125mmピッチ高精細LEDディスプレイCarbon3。W4.2m×H2.4m(▲)




目指したのは、今できうる最高品質

プランニングから機材手配まで映像システムを統率したテクニカルディレクターの日野恵夢(当社ヒビノビジュアル Div.)は、システムの設計にあたる際、自分の中で一つのゴールを決めたといいます。


「今できうる最高品質を届けよう」


実はシステムのプランを固める段階では、画面にどんな画を映すのか具体的に知らされていませんでした。完成形は見えないものの、ブースを占める映像の規模や車が展示されないことは分かっていたので、大型映像がイベントの成功を左右するほど重要であることは確信できました。『来場客はきっとこれしか見ない』。


まだ見ぬコンテンツの品質を損なうことのない“完全なポテンシャル”を映像システムに与えると決め設計を進めました。標準ではない。最高品質を届けるコンセプトでした。




業界に先駆けて導入した最新機材の数々

トヨタブースの映像システムには、この現場が初稼動の最新機材がいくつも起用されました。一つは4K×6出力と10bitの色表示に対応するメディアサーバー「vx4」。同じく4K×6面分の描画領域を高画質で送出するマルチスクリーンプロセッサー(スイッチャー)「Spyder X80」などです。


▲左のラック下段にvx4×3台。右ラック下段にSpyder X80×1台

▲バックヤードのオペブース一角。約10名の映像スタッフがワンチームで運営。
横顔は、映像システムのオペレートを担った大橋智也(当社ヒビノビジュアル Div./2017年新卒入社)。


イベント映像市場では、主力の表示装置「LEDディスプレイ」の大型化と高精細化が進んでいます。


全7面かつ8Kを超すピクセル数のLEDスクリーンに対して映像を送出するとなると、従来のシステムでは機器の数が膨大に増える傾向にありました。


そこで「出力システム」を強化し、8Kを上回るようなピクセルコントロールをシンプルかつ強力に実現させるプラットフォームを構築するべく、業界に先駆け導入に踏み切ったわけです。中でも上の2機種はヒビノが日本最初のユーザーだったのではないでしょうか。


さらに加えればタイミングも神がかっていました。vx4の発表はくしくもモーターショープロジェクトが動き出した頃。メディアサーバーが持つ広い領域を送出するという得意領域に、求める高画質のコーデックがこのタイミングで開発され、それを採用した機材。導入の決断に時間はかかりませんでした。


しかし、リリース直後の新機材には「バグ」という問題がつきまといます。ショーの数カ月前からデモ機を取り寄せテストを重ね、メーカーと改善を続けました。当社の改善要求に対し、時にはできないという回答が返ってくることも当然あって、別の手立てを考え、試すことを繰り返し、最終的にショーに間に合わせました。


結果、ヒビノのLEDディスプレイが描き出した映像の再現性は、高い評価を得ます。システムトラブルもなし。会期中に演出上の視点から変更の要望を受けることもありましたが、目標を高く置いたプランニングが功を奏し、最初に設計した映像システムの範囲内であらゆることに柔軟に対応できました。


「最終的に設計した範囲でクオリティなり、ピクセル数なり、安定性なり、全体が収まってくれて、それでみんなが寝られたのなら(よかった)」と笑顔をくれた日野と、映像ショーと呼ばれるほどの高度な現場“モーターショー”でオペレートを完全に務めた大橋。他にも多数の映像スタッフがワンチームとなって本件を成功へと導いたわけですが、チームを代表する若き2人の姿に『ヒビノの未来は明るいぞ』とワクワクしている自分がいましたね。




初めてづくしの挑戦的なシステムが「トラブルなし」で成功を収めたわけ

モーターショーは、ヒビノがサポートするイベントの中でも「機材」にとって過酷なシチュエーションといえます。朝8時から夜8時まで最短でも12時間は、正しく動き続けなくてはいけません。それを安定して2週間。


前述の通りヒビノの映像システムは、本番もリハーサルもノートラブルで乗り切りました。


過去の経験からいってシステムが止まってしまうなどのトラブルは起こりうるのです。年々、機材のポテンシャル自体が向上し、安定性も高まってはいますが、それだけでノートラブルが実現するわけではありません。


しかも、今回は普段扱っていない新しいLEDスクリーンを採用し、メディアサーバーもスイッチャーも発売されて間もない扱ったことのない機材。正直やりやすくはありません。ある程度、分かる機材で固めたいというのも心情です。


そんな初めてづくしの挑戦的なシステムだからこそ、安全性の担保にも力を注ぎました。問題を一つひとつつぶし、念入りな準備を繰り返します。「過去の経験からどのようなトラブルが起こりやすいか、またそこに費やす時間が多いかを考慮して、システム設計に対する優先順位と目標を自分なりに定めて取り組みました」(日野)。


最終的に全てがうまく回りました。


高い運用ノウハウによって作り上げる“安全”なくして“今できうる最高品質”という目標の達成はなかったはずです。ノートラブルでの成功は、決して運の良さや奇跡などではなく、膨大な現場で培った経験値と周到な準備の賜物だと感じます。


いつの時代も業界のトップランナーとして最先端の映像演出に応えつづけてきたヒビノ。

常に「最高」の実現を前提とするヒビノの精神を見た現場でした。





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