パワーアンプ・ブランド「AMCRON」改め「CROWN」へ。ヒビノとクラウン44年の軌跡

おはようございます。広報のhiroです。


このたび、ヒビノが40年以上にわたり輸入販売を行う音響機器ブランド「AMCRON(アムクロン)」の名称が「CROWN(クラウン)」に変更されることになりました。


CROWNは、パワーアンプを主力とするアメリカの音響機器ブランドです。

ヒビノが輸入を手掛けた第一号のブランドでもあります。


今も昔もCROWNの名で世界中に知られていますが、

日本では、AMCRONというブランド名で流通してきました。


今回は、ヒビノとCROWN(AMCRON)の軌跡を少しご紹介したいと思います。



さて、お話は、いまからさかのぼること44年。

日本武道館でのこと。


当時のヒビノは、「ヒビノ電気音響株式会社」という社名でした。

その名のとおり音響屋です。

創業から手掛ける「業務用音響機器の販売」と、コンサート用音響機材の貸出と設置・オペレートをする「PA(コンサート音響)」の2つの事業を展開していました。




●1973(昭和48)年

トム・ジョーンズ来日公演でCROWNと出会う

日比野宏明社長(現 会長)が、CROWNのパワーアンプと出会ったのは、ヒビノがPAをサポートした1973年2月トム・ジョーンズ日本武道館コンサートでした。


▲トム・ジョーンズ(1973年・日本武道館)。日本で初めて本格的なフライングスピーカーシステムを実現



ミキシングは、トム・ジョーンズが伴ってくる海外エンジニアが担当。

ヒビノは、PAシステムの企画・機材の貸出・設置など「音響システム」を任されます。


私たち社員の記憶には、『日本初のフライングスピーカーシステムを実現したコンサート』として刻まれた現場ですが、実は、この日、同じ場所で『ヒビノとCROWNの物語』も静かに始まったのです。


音響システムは、基本的にヒビノの機材で構築していましたが、一部分にトム・ジョーンズのクルーが海外から持ち込んだ機材を使っていました。

ステージ上のアーティストに聴かせるモニタースピーカーを鳴らすパワーアンプ2台がそう。CROWNのDC-300です。


▲ステージ袖のPAブース。CROWN DC-300が見て取れる


たとえ同じ出力でも、他のパワーアンプとの差は歴然でした。

DC-300は、世界初のDC(直流・直結)パワーアンプ。

後にパワーアンプのレジェンドと呼ばれる名機です。


この当時、海外のサウンドクルーが持ち込む機材や情報は、ヒビノにとって貴重な出会いでした。良い音を大音量で出すことがどれだけ至難の技か、身をもって知っていたヒビノは、CROWN商品の販売へ向けて動き始めます。




●1976(昭和51)年

CROWN(AMCRON)の輸入販売を開始

1976年2月、ヒビノは輸入総代理契約を締結し、CROWN商品の販売を開始します。

このとき、ヒビノはShure(シュア)とJBL PROFESSIONAL(ジェイビーエル プロフェッショナル)という海外ブランドの音響機器を販売していましたが、これらは国内販売代理業務。輸入元ではありませんでした(後に2つとも当社がディストリビューターとなりますが、それはまた別のお話し。)。


CROWNは、ヒビノが輸入を手掛けた、最初の海外ブランドです。

商標の関係で、日本では「AMCRON(アムクロン)」というブランドで展開していきます。


ちなみに・・・

このブログを書くにあたって、AMCRONという名称の由来を当社グループ内で聞きまわったのですが、当時を正確に語れる人間がおらず、証言は噂の域をでませんでした。

「日本では、CROWNの商標が使えなかったのでAMCRONにした(と聞いている)」(←これは本当)

「本国アメリカで流通する商品はCROWN、輸出品はAMCRONだった(と聞いている)」

「AMCRONは、AMERICAN CROWNの略(と聞いている)」

こんな感じ。書類など正式な記録は残っておらず、あくまで伝聞です。

もし真相をご存知のかたがいたら、ヒビノ広報のhiroまで・・・ぜひ!


さて、お話しを続けます。


▲「AMCRON」が刻印されたパワーアンプDC-300A(上)、大出力パワーアンプPSA-2(下)


世界初のDCパワーアンプCROWN(AMCRON) DC-300の性能は、折り紙付きでした。

ヒビノは、お客様へ販売する一方で、自社のPA部門にもこれを導入していきます。

「いままでのアンプとは、音が全く違う」

「低音の抜けが、素晴らしかった」

「AMCRONは、ヒビノの中心になるアンプだと感じた」

などと当社PAエンジニアは語っています。


当時、PA部門がスピーカーを鳴らすのに使っていたパワーアンプPhase Linear(フェーズリニア)は、DC-300より高出力なものでした。しかしトラブルも多く、スピーカーが破損することも間々あったのです。

PA部門は、次々とパワーアンプをDC-300へと入れ替え、音の良さと抜群の安定性を現場で実証していきました。


パワーアンプのレジェンドとなったDC-300シリーズから、Micro-Tech、Macro-Techシリーズ、そしてI-Techシリーズと、時代とともに小型大出力化が進み、PA・SRの現場のみならず、放送局やレコーディングスタジオ、ホール設備など、AMCRONのパワーアンプはさまざまなシーンに導入され、安定した性能に高い評価をいただいてきました。


多くのお客様に支えられ、AMCRONは、ヒビノにおけるパワーアンプの代名詞となっていったのです。




●2017(平成29)年

AMCRONからCROWNへ

歴史を振り返ってみると、ヒビノの「音響機器販売」と「PA(コンサート音響)」の両事業において、CROWN(AMCRON)の存在が大きかったこと、ヒビノの命運を別けたブランドの一つであったことを改めて感じます。


こうしてヒビノは、40年以上にわたりAMCRON(アムクロン)という名称で、CROWN商品を販売してきましたが、本年9月、メーカーの方針により、ワールドワイドに使われているCROWNブランドへ変更することが決まりました。


ブランド名が変わっても、性能、サポート、保証期間は、変わりません。

正式名称になることで、より迅速に商品をお届けできるようになります。


お客様におかれましては、これからも変わらぬご愛顧をいただけましたら幸いです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。



ヒビノとCROWN(AMCRON)のお話し、いかがでしたでしょうか。

また機会があれば、ブランド、製品、商品の一つひとつに詰まった物語をお届けしたいと思います。

懐かしい写真や資料も発掘したいですね。

どうぞお楽しみに。



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